マンション投資のためにワンルームマンションを購入する場合や使わなくなった所有物件を貸して賃貸収入を得ようと思っても、空室が生じては意味がありません。
空室対策の一つとして、近年、常套手段となっているのが契約一時金の見直しです。
本記事では、契約一時金の見直しが重要性を帯びている理由についてご紹介します。
■賃貸契約における伝統的な商慣習
かつては賃貸住宅を貸す場合には敷金と礼金を受け取ることが通常でした。
敷金は賃貸契約中の家賃の滞納、部屋や設備を損壊された場合の補填・修理費用としてオーナーが預かるお金で、契約期間中に使用する機会がなければ、契約満了時に借主に返還しなければなりません。
これに対して、礼金はオーナーに対する謝礼的な位置づけで、返還の必要はありません。
地域によって保証金など呼び方が異なりますが、性質は同じです。
どのくらいの金額を設定するかはオーナーの方針や地域によっても異なりますが、一般的には敷金、礼金は、それぞれ家賃の2ヶ月分ほどが相場となっています。
居住物件の場合は、ケースによって1ヶ月から3ヶ月まで調整され、礼金3ヶ月を取るオーナーも少なくありません。
さらに更新時も礼金を再び求めるケースもあります。
この礼金というものは賃貸契約上、必ず支払わなければならないものではなく、日本における借家契約で古くから行われてきた商慣習です。
■近年の傾向
近年ではこうした礼金の商慣習を排除する動きが高まっています。
不動産会社が直接貸す物件を中心に広まりましたが、都心部のマンションや賃貸物件では、フリーレントと呼ばれる敷金・礼金ともにかからない物件が主流になってきています。
少子化の影響、賃貸物件の供給過剰といった事情によって競争が激しくなり、若い世代の収入減少も問題となっている中で、最初の段階で多額の出費が必要になる契約一時金の高い物件は人気がなくなっています。
■家賃を下げるより契約一時金の見直しを
オーナーの中には地域の相場やライバル物件より、家賃を下げたらどうかと考える方も少なくありません。
ですが、借りたい人が負担を感じるのは最初の契約一時金です。
例えば、敷金2ヶ月、礼金2ヶ月の物件に入るには最初の月の家賃も含めて、最低でも5ヶ月分が必要になります。
家賃が10万円として50万円、それに引っ越し費用も必要となれば、入居を躊躇しても不思議ではありません。
これに対して、家賃が12万円でも、契約一時金がなしであれば、初期費用が家賃の12万円だけで済むので、契約もしやすくなります。
オーナーが礼金収入を得ることにこだわり過ぎ、いつまでも入居者が見つからなければ、収入はいつまでもゼロが続きます。
契約一時金をゼロにして、家賃収入だけで行うことで、すぐに入居者が決まれば、翌月からは家賃収入がコンスタントに入ってきます。
いずれがご自身にとってベストと感じるか、よく検討してみましょう。
■入居者が決まるのが何より先決
オーナーとしては、どうしても収入をたくさん得たいと考え、最初にもらう礼金といった目先の利益にこだわり過ぎたり、万が一の家賃滞納などに備えて敷金はもらっておかないとと考えたりする傾向があります。
ですが、家賃の滞納には借主に少額の保証料を負担させることで保証会社にカバーしてもらうことも可能です。
礼金の固執して、いつまでも空室のままでは、収入が全く入らない期間が長引いては意味がありません。
賃貸経営を成功させる第一歩は入居者に入ってもらうことですから、まずは最初の入り口を入りやすくする工夫をしましょう。
最近はネットでも賃貸情報誌でもフリーレント物件が増えており、探している方も敷金や礼金0円で部屋探しをする人が増えています。
そのため、フリーレントにすることで広告効果も高くなり、入居者がすぐに見つかりやすいというメリットがあります。