責任範囲を理解して管理会社とのトラブルを避ける

所有する物件の管理を専門の管理会社にお任せするオーナーは多いですが、どこまで管理してもらえるのかは管理委託契約の内容やプラン、管理会社によっても異なります。
入居者との間や近隣住民からのクレームなどを巡ってトラブルが起きた際、管理会社の責任として対応を丸投げできるのか、生じた損害についてオーナーが賠償しなくてはならないかは、管理委託契約の定めや法律の定めで違いが出てきます。
管理会社の責任範囲や役割を明確にし、管理会社が責任を負う必要がないケースも頭に入れておかなくてはなりません。

■管理会社に求められる役割

管理会社の業務としては契約管理や入居者管理、建物管理や家賃管理などが挙げられます。
もっとも、どこまで業務を任せられるかは、管理委託契約の内容によって異なるため、オーナーや賃貸物件ごとに異なることになります。
管理を委託するにあたって、業務を委託する範囲を明確にし、トラブルが起きたときの責任の所在を明確にしておかなければなりません。
管理委託費用を抑えようとして、オーナーが行う業務を定めたにもかかわらず、それを忘れてしまうと面倒なことになります。

■管理会社に責任があるトラブル例

入居中の入居者からの要望や緊急対応、近隣住民からの騒音やゴミ問題を巡るクレーム対応は管理会社に責任があります。
建物管理を委託した場合には、室内の住宅設備の故障によるクレーム対応をはじめ、修理をスムーズに行わずに入居者が不満を持つケースの対応も管理会社が対応しなくてはなりません。
また、家賃管理を任せた場合には毎月入居者からの家賃回収する責任があります。
家賃滞納などのトラブルが発生した場合には、入居者への電話や郵便による連絡、直接訪問などを行って督促をするとともに、事態が改善しない場合には身元保証人への連絡や請求、オーナーと相談のうえ契約解除などの手段を講じることも求められます。

■管理会社が責任を負う必要がないトラブル例

オーナーが所有している建物の老朽化や不具合などで、入居者や近隣住民、通行人などがケガをした場合や家財などに損害を受けた場合、民法上、オーナーが所有者としての管理責任を問われ、損害賠償を求められることがあります。
このように管理業務を管理会社に委託しても、オーナーとして法律上の責任を負うケースがあるので注意が必要です。
万が一の賠償請求に備え、オーナーの負担で施設賠償保険に加入しておくと安心です。
責任範囲を正しく理解して、業務区分や役割を分担することで、オーナーと管理会社の間で信頼関係を損ねるようなトラブルを避けることができます。