高級マンション・タワーマンションの賃貸経営で覚えておきたい注意点

高級マンションやタワーマンションは新築分譲時に抽選が行われるほどの人気物件であることから、価格が下がって手に入りやすくなったタイミングで中古マンションを購入して賃貸経営を始めようと考えている方もいるかもしれません。
高級物件のマンション投資をご検討の方に、賃貸経営における注意点をご紹介します。

■期待と異なる空室リスク

都心部の眺望に優れたタワーマンションは、新築分譲時には抽選会が行われるほどの人気物件です。
高額な家賃収入の獲得を目指し、値下がりした中古物件が出て来るのを待っても、なかなか手放す人がいない場合や中古物件が出てもすぐに売約済みになってしまうことから、賃貸経営を始めれば、超人気物件になるに違いないと思っている方も多いのではないでしょうか。

確かに新築時に人気があり、まだまだ築浅で眺望が良く、高額の家賃を払ってでも住みたい!と思えるような好物件であれば、入居希望者がすぐに現れる可能性もあります。

ですが、築年数が経過して魅力が薄れた場合やタワーマンションでも上層階ではなく、中途半端な中層階や眺望が望めない下層階の物件である場合、入居希望者がなかなか現れないリスクが潜んでいます。
しかも、高級マンションならではの高い賃料相場となるため、物件によってはコストパフォーマンスが悪く、なかなか入居者が見つからないということも十分にあり得ます。
タワーマンションだから人気が出るに違いない、高級マンションだからリッチな経営者やエリートが借りてくれるに違いないと思い込んでいると、足元をすくわれてしまいます。

タワーマンションといっても下層階から上層階まで幅広い物件があり、上層階ほど中古物件でも価格が高く、手放す人も少なく、中古物件が出てもすぐに買い手がついてしまいます。
手に入りやすい中層階や下層階では、タワーマンションだから、セキュリティや設備の整った高級マンションだからといっても、家賃が高すぎて入居希望者が現れない可能性があります。
さらに途中で家賃が払えなくなって中途解約されるなど、空室リスクが常につきまとうため気を付けなくてはなりません。
せっかく購入費を払って手に入れ、しかもローンを利用して投資している場合には家賃収入が入らず、ローンの返済に困ることになるので注意しましょう。

■老朽化が進んでいる場合のリスク

タワーマンションの新築物件は人気がありすぎて手に入りにくいし、価格も高額で賃貸経営投資には見合わないと、中古物件に目をつける方は少なくありません。
ですが、立地や設備、環境や築年数により、入居希望者がすぐに現れるか、空室リスクに悩まされるかに大きな影響が出ます。
築年数が古いと入居者を募集する前にリフォームが必要になる場合や住宅設備を最新の状態に入れ替えないと、今どきのライフスタイルやニーズに見合わず、入居者がなかなかつかないリスクもあります。
フローリングやクロスの張替え、バスルームやトイレ、洗面所やキッチンのリフォーム費用をかけるとすれば、物件の購入価格以外にも高額の費用がかかってしまいます。
築年数の古い高級マンションによっては、間取りも今人気のスタイルとはかなり異なるケースが少なくありません。
今どきのタワーマンションや高級マンションは、1部屋の広さが広くて部屋数が少なく、広大なリビングなどがあるタイプが人気です。
一方、築年数の古い物件では部屋数が多い分、1部屋の広さは狭い物件が少なくありません。
となると、人気の賃貸物件になるよう、今どきのニーズに合わせて間取り変更を行うなど、高額な費用がかかるスケルトンリフォームをしなくてはならないケースも生じます。
物件によっては構造上、スケルトンリフォームができないケースもあります。
間取り変更して人気物件にしようと考えていた方にとっては、逆に困る事態です。
中古物件の購入にあたっては、人気があったタワーマンションだからほかの人に取られるかもしれない、人気エリアで物件が希少な高級マンションだからと、よく検討もせずに即契約してしまうのではなく、慎重に検討を行いましょう。
リフォームの必要がどの程度あるか、費用はどのくらいかかりそうか、コストパフォーマンスに合う家賃収入が得られるか、購入前にシミュレーションしなくてはなりません。
また、希望する理想のリフォームができる物件なのかも、不動産会社やリフォーム業者に相談するなどして、事前によく確認しましょう。
購入した後で、希望するリフォームができないのでは計画が無駄になります。

■築年数の古い高級マンションの落とし穴

新築時には高い価格で売り出され、立地も都心部の駅近など現在でも希少な物件であったとしても、築年数が古いと思わぬ落とし穴があります。
今どきのマンションなら当たり前のオートロックなどのセキュリティが完備されていない、宅配ボックスがない、ペットの飼育が禁止されているなどがその例です。
高級マンションの賃貸への入居を希望する人は、セキュリティ完備、宅配ボックス完備、ペットも飼えるマンションを選ぶ人が多いので、空室リスクが懸念されます。
長期的な家賃収入を望むのであればなおさら、購入前に慎重な選択基準を設け、丁寧に精査しなくてはなりません。