老朽化した分譲マンションって将来どうなるの?

分譲マンションの賃料収入を老後の資金にしたいなど長期で検討している場合、マンションが老朽化した際のことが気になるかもしれません。
ずっと貸し続けることができるのか、築年数が既に経過している分譲マンションをお持ちのオーナーや中古マンションを手に入れたオーナーに、老朽化が進んだマンションの将来についてご紹介します。

■まずは大規模改修

分譲マンションでは各オーナーが専有面積の広さに応じて修繕積立金を積み立てていきます。
これはマンション管理組合で計画する中長期におよぶ大規模修繕計画に基づき、将来の工事に備えてお金を積み立て、プールする仕組みです。
通常、10年から15年に一度の割合で外壁塗装やベランダ防水、共用エリアの修繕やタイルの補修、鉄部塗装、屋上防水補修などが行われています。
さらに築年数が進めば、エレベーターなどの設備を更新し、耐久性を向上させるための工事を行って、今後も住めるようにします。
もっとも、修繕積立金の範囲で工事ができないケースも多く、大規模修繕に備え追加費用の負担を求められることもあるので注意が必要です。

■なかなか実現できない建て替え

大規模修繕では対応できないレベルに老朽化が進んだ場合や築年数がマンションが想定する耐久年数に迫っている場合などは、建て替えという選択もあります。
もっとも、一戸建てなど自分だけの住まいと異なり、分譲マンションには多くの住人が住み、オーナーが複数存在しています。
つまり、一人の意見だけで簡単に建て替えができるわけではありません。
建て替えを行うためには、マンション管理組合で総会を開き、区分所有者の5分の4以上の賛成を得なければなりません。
そのためには建て替え計画を策定し、何度も住民やオーナー向けの説明会を開いて説得を続ける必要もあります。
時間や労力がかかる作業です。
しかも、建て替えてきれいなマンションに住みたいというオーナーもいれば、もう何年も住まないだろうから今のままで良い、建て替え中の住み替え先が確保できない、引越し費用を出すのが難しい、引越したくないなど、さまざまな理由で合意が得られないケースも少なくありません。
建て替えには追加費用が発生することも多いため、そもそも資金が出せないと否決されることも多いのが現状です。

■区分所有権の解消と敷地売却

老朽化により倒壊リスクがあるなど、建て替えが必要にもかかわらず、なかなか合意が形成できない実態を踏まえ、マンション建物の除却と敷地を売却できる制度の改正が平成26年に行われました。
認められる条件として、耐震基準不足のため除却が必要であると都道府県知事等に認定されることが必要です。
また、改正前は全員の合意が必要だったのが、区分所有者の5分の4以上の賛成による決議となり、ややハードルが下がりました。
建て替えや敷地売却に反対する区分所有者の敷地権を買い取ることで、一括売却も可能で、区分所有者は敷地権分の金銭を受け取り、新たなマンションの購入などに充てられます。

■定期借地権付きのマンションの場合

定期借地権権付きのマンションの場合、30年または50年の期間が満了すると、地主へ土地の返還をしなければなりません。
更地にして返還する必要があるため、オーナーは建物の取り壊し準備金を負担する必要があります。

■老朽化が問題となる前に売却を

老朽化が進むと、どの方法を採るにしても話し合いに向けた労力や時間が費やされ、費用の追加負担も発生するのが実情です。
手間をかけたくない、費用負担はしたくないと考える場合には、老朽化が進む前にオーナーチェンジによる売却を行い、より新しい分譲マンションを購入して賃貸経営をリスタートするのも一つの選択肢です。