管理委託契約を中途解約!違約金は発生するの?


管理会社と管理委託契約を締結するときには、締結前に隅々まで内容をチェックしておくことで、ほとんどのトラブルは未然に防ぐことができます。
特に注意が必要なのが中途解約に関することです。
原則、オーナーは契約途中で解約を申し出ることができますが、契約書の内容によっては違約金が発生してしまうケースもあります。
どんな点に注意すれば良いのか解説します。

■管理委託は原則解約可能

管理会社との管理委託契約は、オーナーは原則、自由に解約できるというメリットがあります。
管理委託契約は賃貸借契約ではありませんので、基本的には縛りもなく、管理会社の働きに満足できなければ簡単に解約することが可能です。
ただし、ここでチェックが必要なのが、契約書に書かれている中途解約条項です。
多くの場合、「3ヶ月前に文書により解約の申し入れを行うことにより解約することができる」といった文章が盛り込まれており、こうした契約書であれば問題はありません。
ただそれに付随して、「3ヶ月分の管理委託料を一括で支払うことで即時解約できる」などと書かれている場合もあります。
こうした契約書を締結した場合には、中途解約時には3ヶ月分の管理委託料を一括で支払わなければすぐに解約することはできなくなります。
つまり、オーナーにとって重要なのは契約書の内容であり、そこに書かれているものはあらかじめ承諾したものとみなされるため、従わなければならない内容となるのです。
契約の前から途中解約を念頭に置くのはなかなか難しいかもしれませんが、契約はとにかく解約しやすいほうがオーナーに有利となりますので、頭に入れておきましょう。
もちろん管理会社の働きに満足であれば、それに越したことはありません。しっかり信頼関係を築いた上で、契約時にはあくまでも保険の一環として明記しておくのが良いでしょう。

■契約書に書いてない場合はどうすればいいか

中には、中途解約について一言も契約書に書かれていないケースもあります。
いざ解約しようとしたときに書類を見返してみたら、実は何も書いてないといった場合、果たして違約金は発生するのでしょうか。
結論からすれば、契約書に何も書かれていない場合、違約金も損害賠償金も支払う義務は一切ありません。
解約を申し出たら管理会社が態度を一変させて、急に損害賠償請求をされたような場合でも、契約書にない限りは支払う義務はないことをあらかじめ理解しておきましょう。
管理委託契約はれっきとした契約ですから、全ては契約書の記載によって解約の可否が決まります。
前述のように3ヶ月前と書かれていればそのようにすれば良いだけですし、契約期間中であっても中途解約することができます。
また、管理委託契約書に契約期間や自動更新の定めはあっても、期間中の中途解約については何も書かれていない場合もあります。
この場合は、ないからといって中途解約はできないことにはなりません。
何もない以上、オーナーは自由にいつでも解約できるという解釈になります。
オーナーは契約書に中途解約に関する定めがない場合でも、原則、期間中に管理委託契約を解約できることを覚えておきましょう。

■相手が納得しない場合も

困るのは契約書に中途解約についての記載がないにも関わらず、管理会社が難色を示してきた場合です。
管理委託契約は民法の定める委任契約にあたりますが、委任契約や民法第651条第1項で「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」 と定められています。
法律に従い、オーナーは堂々と条文に基づいて自由に解約できますので、まずそこを認識しましょう。
またこの場合、解約の理由が問われることもありません。
相手から理由をしつこく聞かれることがあるかもしれませんが、特にノーコメントで構いません。
都合により解約したいといえばいいだけです。
もしこの申し入れに納得しない管理会社が損害賠償を請求すると言ってきたとしても、先の民法に基づいて解約した場合には損害賠償義務は発生しません。
解約するまでの期間のみ、通常通り報酬を支払わなければなりませんが、その後の期間を充当する額を賠償する義務などないのです。
どうしてもトラブルが収まらないようなら弁護士に相談することもできますが、イレギュラーなことがなければ支払い義務は発生しませんので、毅然とした対応が必要でしょう。

■契約書の内容はしっかり理解を

管理会社との管理委託契約時には、まず契約書の内容を正しく理解しておくことが必要です。
基本的にオーナーは中途解約ができますが、契約書の中に中途解約に関する条件がある場合は、締結後はそれに従わなければなりません。
本来、何の制約もなく途中で解約できる権利を持っているのですから、おかしな内容であれば修正を要請すべきです。
相手が筋の通らないことをいってきても、毅然とした対応が重要となります。