コロナ禍で注目の客付け方法~オンライン内見・セルフ内見~

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、収入が減るなどして賃料が払えなくなって退去する人や、テレワークやオンライン授業の実施により田舎などに引っ越す人も増え、賃貸住宅の空き室が増える傾向にあります。
入居者を募集したくても接触による感染の影響が不安視される中、来店せずとも内見が可能なオンラインやセルフ内見による客付けに注目が集まっています。

■新型コロナウイルスによるオーナーへの深刻な打撃

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、売上が激減した飲食店や観光施設などが増え、生活ができなくなり、家賃の減額を求められて悩んでいるオーナーも多いのではないでしょうか。
オーナーとしても、投資物件の購入ローンを払いながら賃貸経営をしているケースも多く、簡単に減額に応じられるものではありません。
悩んでいるうちに夜逃げされ、家財一式を片付けるための多額の費用を負担する羽目になった方もいます。
また、賃料が払えなくなって実家や知人を頼る人や格安の物件へと移るために退去する人も増えています。
さらに家賃が払える余裕がある人でも、テレワークによって都心部に暮らす必要性を感じなくなり、広い田舎の中古住宅などを購入して引っ越してしまう方も増えてきました。
また、学生街にある賃貸住宅では、オンライン授業が継続され、キャンパスでの授業再開が見込めないから家賃を払うのが無駄と中途解約して、実家に戻る人も少なくありません。
コロナの影響は賃貸住宅のオーナーにも及んでおり、空室が増えている状況をいかに解決するか、深刻な問題に直面しています。

■新型コロナウイルスの客付けで困った時には

空室はオーナーにとって最も避けたい事態です。
退去されたら、すぐにでも入居者を呼び込みたいものですが、それすら難しい状況になっています。
入居者を入れるには内見は不可欠ですが、オーナーが立ち合うにしても、不動産会社や管理会社に仲介を依頼するにしても、互いの距離が近く、賃貸住宅の同じ空間に15分以上は滞在しますから感染リスクも高まります。
不動産会社の中には車で内見者を送り迎えするケースもあり、密な空間は避けられません。
実際に内見に同行した不動産会社のスタッフがコロナに感染した事例もあり、案内するほうも、内見に行く入居希望者のほうも、今の時期はやめておこう、怖いという意識が高まり、空き室を埋めることさえ難しくなっているのです。
これからも長く続くかもしれないWithコロナ時代に、どのように空き室を埋めていけば良いのでしょうか。
その手法が、今にわかに注目を浴びているオンラインを使った内見やセルフ内見なのです。

■オンライン内見による客付け

オンライン内見には大きく2つのアプローチがあります。
1つはコロナ禍前から、時代の流れを捉えた不動産会社などで少しずつ浸透していた手法で、バーチャル内見動画を配信する方法です。
あらかじめ賃貸住宅の室内を動画で撮影し、間取り図や写真だけではわからない実際の部屋の映像を見てもらうというものです。
入居者募集中の物件について不動産会社の公式サイトやYouTubeなどで配信し、物件を探して検索からたどり着き、バーチャル動画を見て興味を持ってくれた人が問い合わせをすることで、次のステップへと進めていけます。
Withコロナ時代の次のステップとしては、オンライン内見かセルフ内見がおすすめです。
オンライン内見は、バーチャル動画配信とは異なります。
バーチャル動画はすでに撮影された映像が繰り返し閲覧されるだけで、映像に納められた内容以外は見ることはできません。
時間的にも短時間の映像が多いです。
これに対してオンラインによる内見は、リアルタイムかつ双方向で、内見希望者一人ひとりにきめ細やかな対応が可能です。
お互いが、それぞれ所有するスマホやタブレットと、テレビ電話アプリなどを用い、接続した状態で内見をスタートさせます。

■オンライン内見のポイント

バーチャル動画配信が従来の賃貸住宅情報誌や間取り図チラシなどの発展形であるのに対し、オンラインを使った内見は実際の内見を代替するものですので、実際に見に行ったのと同じような体験を内見希望者にしてもらうことが大切です。
そのため、できれば、室内からのスタートではなく、外部からスタートすると良いでしょう。
たとえば、駅から近い物件なら最寄り駅からスタートします。
周辺環境や最寄りの施設などを映しながら、実際に内見の案内をするオーナーやスタッフが歩くことで、どのくらいの時間がかかるのかや街並み、周辺環境などがわかるからです。
物件に到着したら、外観を映し出し、エントランスや宅配ボックス、オートロック設備をはじめ、廊下やエレベーターの様子も逐一配信しながら部屋へと進みます。
室内に入ったら、隅から隅まで丁寧に映し出しながら案内をしましょう。
双方向にコミュニケーションをしながら案内を行い、内見者からの要望や質問に応じて、より詳しく希望箇所や気になっている箇所をズームアップして説明するなど実際の内見と変わらない環境づくりが大切です。

■セルフ内見による客付け

セルフによる方法は鍵を貸し出して、自分1人で見てもらう方法です。
鍵の管理が必要なので、双方で検温や消毒を徹底して、短時間での受け渡しを行いましょう。
セルフの場合、なんとなく部屋を見て、なんとなく違うとほかの物件に逃げられてしまう可能性も少なくありません。
そのため、この場合にもオーナーやスタッフとスマホでテレビ電話を繋ぎ、内見者が映し出す映像に合わせて説明をしたり、チェックしてほしいポイントを案内したり、営業トークをかけていくのがおすすめです。
内見中に心が決まってくれれば、鍵の受け渡し後に、互いに距離を取ってテレビ電話交渉などを行う手間も省けます。
新型コロナウイルスの影響はまだまだ続く可能性があり、空き室リスクを低減するためにも、オーナーや不動産会社のスタッフの感染を予防するためにもWithコロナ時代を乗り越えるための新たな客付け法の導入が望まれます。
テレワークにより、都会を中心に賃貸住宅を去る人も増えている中、いかにして入居者募集を行うかの有効な選択肢になるでしょう。