善管注意義務

退去精算にも関係してくる義務


善管注意義務という言葉を家主さんはご存じの方が多いのではと思いますが、賃借人の方は知らないという方の方が多いと思います。善管注意とは民法第400条の条文の中にあり、特定物を善良なる管理者の注意義務をもって保管するという部分にあたります。
建物は特定物に入るので、賃貸借契約でも善管注意義務ということが適応されるということになり、賃貸借契約書内にも記載されていて不動産用語としても使われています。賃貸契約上の善良なる管理者の注意義務とは具体的にはどのようなことかというと、借主は常識的な範囲で正しく使用するということです。
常識的という範囲が難しい判断になる場合も多く問題となる原因でもあるのですが、常識範囲外での使用と判断されると義務を果たさない悪意や故意という認識になり、退去精算時に原状回復費用を入居者に請求することが出来るということの意味を含むのが善管注意義務という言葉です。
原状回復のためのガイドラインなど家主さんに不利だと思われるようなことが多いですが、義務違反に当たる部分として請求できることもあるのです。

契約者の意識付け


国土交通省のホームページからダウンロード可能な標準とされる賃貸借契約書を利用されている場合は善管注意義務の表示はありますが、管理会社などで独自の契約書を使っているところも多いですので、家主さんはお手元にある所有物件の賃貸借契約書を確認されてはいかがでしょうか。
記載しないよりは記載した方が原状回復の精算の際に役立つかもしれません。入居者がどのような使い方をするかによって退去後の補修費は変わってきます。家主さんとしては出来るだけきれいに使ってほしいですよね。入居者は初めて賃貸物件を利用するという人も多いですし、退去の際に初めて退去精算でお金がかかるということを知る人もいます。
契約時にある程度の説明をしておくことや、契約書内に記載することで、賃貸物件を使用するということは年数や使い方によって自ら費用を負担する必要があるということを認識できるのではないかと思います。
どれだけ説明しても中には聞いていない、見ていないと言う方もいますので、その部分に関しては常識的な考え方を持っている人が入居してくれることを願うしかありませんが、少しでも意識付けをすることで補修費用を減らすことはできるかもしれません。