オーナーが書類送検!?外国人入居者とのトラブル


賃貸経営を行うにあたっては、どうしても入居者とのトラブルリスクは付き物といえます。
最近増えている問題に、外国人入居者とのトラブルがあります。
お互いの言語や文化が異なる中で、どうしてもコミュニケーション不足による、トラブルが発生してしまうケースが少なくないようです。
今回はトラブルによってオーナーが書類送検になった事例やその対応方法、入居者を受け入れる場合の注意点についてご紹介します。

■オーナーが書類送検された実例

書類送検されたオーナーが所有する物件の入居者は、これまでに5、6人が不法在留で逮捕されてきました。
さらに別件でタイ人が不法入国によって逮捕されたとき、逮捕者は、「オーナーはビザがないことを知りながらアパートを貸してくれた」と証言したとして、オーナーも書類送検されることになったのです。
さらにこのタイ人はラオス人であることも発覚してしまいます。
しかし、このケースの場合は入居者が不法在留で逮捕された過去が複数ありながらも、引き続き入居者の身元をしっかり確認しないまま、外国人を住まわせていたオーナーにも非があるといえます。
つまり外国人入居者の場合は、必ず日本に在留する資格があるかどうかを確認しなければ、その責任を問われる可能性があるのです。

■オーナーが不法入国の責任を問われないための対応方法

まず、外国人は不法入国の可能性も想定しなければなりません。
この点のチェックが何よりも重要となります。
まずは、在留資格があるかどうかを確認するために証明書を提示してもらうようにしましょう。
パスポートはもちろんのことですが、さらに在留カードを提示してもらうことがトラブルを回避できる最もベストな方法です。
在留カードは、パスポート番号と上陸許可日、在留資格、在留期間が記されているので、パスポートと一致しているかどうかをしっかりチェックしてください。
また、留学生の場合は、在学証明書、成人の場合は就労証明書や内定証明書を入居者の会社に発行してもらうように、そして収入証明書も同時に提示してもらうとより安心でしょう。
入居者との契約前に必ず事前の入居審査を怠らないように注意することで、オーナーが責任を問われるようなトラブルに発展することはありません。
そもそも在留資格をチェックしておくということは非常に重要な過程であり、あらゆるトラブルの軽減につながっていきます。
在留資格がすでに切れているのに、いまだ日本へ滞在していたというような不法滞在や、許可された在留資格以外の分野で仕事をするといった不法就労などのトラブルが発生するのを防ぐことができます。
これらの場合は強制送還となってしまい、オーナーに連絡もなく入居者が突然いなくなってしまうというケースもありますので、未払いや原状回復費用といった負担がオーナーに降りかかります。

■入居者の国籍を理由に差別はしないように注意

外国人入居者は連帯保証人がいないという理由によって、外国人を受け入れている賃貸物件はまだまだ少ない傾向にあります。
しかし、理由もなく国籍によって入居を断るような差別は決してしないようにしましょう。
過去に法人が従業員のために物件を契約したものの、前日になってオーナーがその従業員が外国人入居者だという事実を知って、入居を拒否したことでオーナーが訴えられたという事例があります。
この裁判においては、国籍を理由とした入居拒否は、正当な理由にならないとの判決が出て、慰謝料100万円と弁護士費用の一部を負担する支払い命令が下されました。
国籍によって差別をすることは不法行為になりますので注意しておきましょう。
トラブルを起こさないためにも、上記のように入居審査さえ入念に行っておけば空室を埋める対策にもつながります。