在留外国人の増加と賃貸経営


少子高齢化が進む中、賃貸経営において空室に頭を悩ませているオーナーが増えています。
そんなオーナーを救ってくれるのが、近年増加している外国人の存在です。
しかし入居してもらえることはありがたい一方で、さまざまなトラブルの発生も懸念されています。
ではどのようなことに注意をすればトラブルを回避しながら、外国人とうまく賃貸契約を結んでいけるのでしょうか。

■外国人が増加した理由と賃貸経営にもたらす影響

2012年以前の日本では「外国人登録制度」を設けていましたが、2012年の法改正によって3ヶ月を超える滞在をする外国人も住民登録が可能となりました。
この制度によって観光目的以外で来日した外国人は、日本で住民票の発行が行えるようになったのです。
総務省が行った2017年1月の統計によりますと、日本国内に滞在する外国人の数は233万人で、2018年1月には250万人に増えています。
今後も増加傾向は続くと見られており、賃貸契約を結びたいと考える外国人が増えていくのは間違いありません。
ワンルーム賃貸物件を所有するオーナーにとって、空室を1つでも減らすことで賃貸経営は軌道に乗ります。
そんな賃貸経営に一役買ってくれるのが外国人の入居で、空室のままにしておかなくても済むメリットが生まれます。
そこで賃貸物件を所有するオーナーが気になるのが、外国人入居者に対してどのように接すれば友好的な関係が築けるかという点です。

■契約内容をしっかりと理解してもらうことが大事

それぞれの国で文化が違うように、日本人にとっては当たり前のマナーが外国人にとっては守る必要性を感じていないことも少なくありません。
賃貸経営を円滑に進めるためには、住んでいる日本人や近隣住民とのトラブルは何としても避けなければなりません。
そのためには入居前に交わす賃貸契約書の内容をきちんと伝えて、理解してもらう必要があります。
まず日本語を話せない外国人とコミュニケーションを取るのは、非常に難しいのが実情です。
また日本語を話せても読めなかったり書けなかったりする場合も、契約書にサインをしてもらうときに不都合が生じるおそれがあります。
また家賃の滞納を防止するためには連帯保証人は絶対に必要で、連帯保証人がいなければ入居できないことを時間をかけてしっかりと理解してもらうことが重要です。
連帯保証人が確保できれば、その後も入居にあたって決められている契約内容が分かるように説明しなければなりません。

■予測される外国人によるトラブル

・騒音問題
外国人は平日でもホームパーティーを行うことがありますが、日本人には夜は静かに過ごす習慣があります。週末なら騒ぐ声や物音も何とか我慢ができても、平日に騒がれてはゆっくり眠ることもできません。
もちろん外国人の入居を国籍で差別することは許されませんが、多国籍の人々がそれぞれの国の風習に習って行ったことが原因で思わぬトラブルに発展する可能性があります。

・ゴミを捨てのルールを無視する
外国人には決められた曜日や時間を守って、そのときにゴミを出すという習慣があまりありません。ゴミがでたら好きなときに出す外国人も多く、ゴミの分別も行わないことがほとんどです。
日本人はゴミ袋が破れて中身が飛び散らないように工夫しますが、外国人も同じようにするとは限りません。
夜中に出されたゴミをカラスがあさって、ゴミ置き場が荒らされた状況になることもしばしばです。

・勝手なルームシェアやペットの飼育
ワンルームマンションではルームシェアはできませんが、友達と住むことに違和感を感じない外国人は少なくありません。
狭い賃貸物件に数人で生活すれば生活騒音も大きくなりますし、さまざまな人が訪れることで不安を感じる住民も出てきます。
またペット飼育禁止にも関わらず無断でペットを飼い始め、鳴き声や異臭などのトラブルを引き起こすケースもあります。

■文化や生活習慣の違いを尊重する

日本で暮らすようになったとしても、生まれながらの生活習慣や文化はすぐに変えられるものではありません。
そのため賃貸契約を結んだ時点で、日本の生活習慣に合わせてもらうようオーナーが努力することが大切です。
夜遅くに騒いでいる入居者に注意したり、ゴミ出しの正しい方法について指導したりする必要性も出てくるでしょう。
オーナー自らが動くことによって住民も安心できますし、コミュニケーションを取る機会も作れます。
そうした努力によって、お互いを思いやる気持ちも生まれ、トラブルが解消されることで気持ちの良い賃貸経営が行えるようになります。