賃貸マンションの修繕積立金の相場って?安く抑える方法は?

賃貸マンションのトラブルの一つに入退去時の修繕費が挙げられます。
オーナー側と入居者側が思わぬトラブルに見舞われてしまうことがないように賃貸マンションの修繕費の相場に関してしっかりと理解することが大切です。
本記事では、賃貸マンション経営を行うオーナー様向けに修繕積立金の相場や安く抑える方法を解説していきます。

■賃貸マンションにかかる修繕積立金とは?

賃貸マンションでは、修繕積立金が必要になります。
マンションなどの賃貸物件は、築年数が経過すればするほど老朽化が進み、定期的に必要な修繕を行わなければいけません。
この際に必要となるメンテナンス代を修繕費として積み立てしておくことが求められます。
物件の修繕といってもさまざまあり、大規模修繕、小規模修繕、原状回復の3種類に分けられるのが特徴です。
大規模修繕は、物件が建てられてから10年ほどが経過し老朽化が目立つ部分を工事することを指します。
たとえば、外壁や屋根、ベランダなどの改修工事を行うこともあるでしょう。
また、玄関枠などのサビのメンテナンスや塗り替えのほか、給水ポンプを交換するなど大規模修繕はさまざま行われています。
大規模修繕を行うにあたって、これらの工事費用を負担するのはオーナー側となります。
物件が建てられてから10年~30年以内に行われることが多いですが、適切な時期に大規模修繕を行わなければ安全対策をきちんと行えていないだけでなく物件の資産価値を大きく下げることにもなりかねません。
一方、小規模修繕は、シロアリ検査のほか、屋根や外壁の劣化を確認するなど事前の老朽化対策の意味を持ちます。
老朽した部分の工事を行うだけでなく劣化や耐震などにおいても5年を目安に行われており、入居者が安心して生活するために欠かせない工事となります。
最後に挙げる原状回復は、これまで生活していた入居者が退去する際に行われる工事です。
新しい入居者を迎える前に行う工事となっており、壁紙やフローリングの交換を行うほかにもハウスクリーニングなども含まれます。
大規模工事や小規模工事の修繕費はオーナー側が持ちますが、原状回復にかかる修繕費はオーナー側と入居者側の負担は状態によって変わります。
たとえば、壁紙やフローリングの汚れや傷が目立つ場合であっても日常生活の中で故意に発生したものでなければオーナー側が費用を負担しなければなりません。
また、家電や家具を置いていたことによる壁やフローリングの黒ずみや画鋲の穴なども致し方ないものと判断されるため、オーナー側が修繕費を支払うことになります。
一方、入居者によるトラブルによって引き起こされた壁やフローリングの傷や汚れなどは借主側が修繕費を負担します。
間違って壁やフローリングに穴を空けてしまった、タバコのヤニで壁紙が黄ばんでしまったなどのトラブルは、借主側の責任となるでしょう。

■いざというときのために修繕積立金を用意する

物件の劣化や入居者の退去時の修繕のために毎月きちんと修繕積立金を用意することが欠かせません。
毎月決まった額の修繕積立金を続けていくことで、いざというときに適切な時期に必要な工事を行うことができます。
妥当な修繕積立金を知るために、まずはどれくらいの修繕費が必要なのか物件の築年数や物件の大きさに合わせて相場を確認してみましょう。

■物件によって違う修繕費の相場

RC構造2LDKの物件の場合、築30年まで一戸あたり約200万円、棟あたり約4,500万円となります。
RC構造1Kは、築30年まで一戸あたり約180万円、棟あたり約1,800万円です。
木造2LDKの物件の場合、築30年まで一戸あたり約220万円、棟あたり2,150万円となります。
木造1Kは、築30年まで一戸あたり約170万円、棟あたり1,740万円です。
築年数や物件の構造によって修繕費には違いがあるものの、修繕費の相場を確認してみると高額な費用が必要になることがわかります。
特に屋根やベランダの防水は、10年ほどで効果がなくなってしまうため、定期的に修繕を行わなければいけません。
また、外壁は汚れやひび割れが目につきやすい部分でもあることから空室リスクを軽減するためにも早い段階で修繕を行うオーナーも少なくありません。
大規模工事や小規模工事では、まとまった費用を用意する必要があるため、対策を行うことが必要です。

■原状回復費用の相場

原状回復工事では、壁紙やフローリングの張り替えを行うほかにもハウスクリーニングを行うことが多々あります。
お部屋の広さによって必要な修繕費に違いがありますが、それぞれ5万円前後の費用が必要です。

■積立修繕費を抑えるポイント

相場を確認してみてもわかるように修繕費は高額です。
少しでも安く修繕費を抑えるには、適切なタイミングでメンテナンスを行うことも方法の一つです。
劣化が大幅に目立つようになってから修繕工事を行うよりも早い段階でメンテナンスを行うことで費用を抑えることに成功します。
定期的なメンテナンスを怠ってしまうと大掛かりな工事が必要になってしまい、修繕費用も高額になる可能性があります。
特に大規模工事は、まとまった高額な費用が発生するため、少しでも費用を安く抑えたいのであれば定期的にメンテナンスを行ってみると良いでしょう。
いくつかの工事業者から見積もりを取り確認してみると同じ施工内容であっても修繕費に大きな差があることがわかります。
まずは、それぞれの工事業者の見積もりをじっくりと比較し施工内容と工事費用が妥当であるかを自分の目で見極めることが欠かせません。
また、場合によっては、自治体などが実施している助成金制度を利用できることもあります。
適用条件を満たしていれば助成金制度を利用して大規模修繕工事を行うことも可能となるので、事前に確認してみると良いでしょう。
このほかにも修繕積立金の不足を補填する方法として入居者から一時金を徴収する方法も挙げられます。
しかしながら一時金を徴収する場合には、入居者から理解を得なければならずスムーズに解決しない可能性もあります。
いざというときに修繕費で頭を抱えてしまうことがないように必要な修繕積立金を把握しておくなど、しっかりと対策しておくことが大切です。