分譲マンションを賃貸経営している場合に管理会社を変更したいと思ったとき、どうすれば良いのでしょうか。
変更をしたいと思ったキッカケや新しい管理会社の選び方、変更手続きの流れや必要な手続きについてみていきましょう。
オーナーがするべき対応についてもご紹介します。
■分譲マンションの管理の特徴
分譲のワンルームマンションを購入して賃貸経営を行う場合や居住していた分譲マンションを転勤中や住み替えなどによって貸したい場合、自分で対応するのではなく、賃貸経営を管理会社に任せる方は多いのではないでしょうか。
この点、分譲マンションにおいては既にマンション全体を管理している管理会社がいます。
つまり、賃貸経営を任せるのとは別の業者が既にいるので、それぞれに任せる業務を混同しないようにしなくてはなりません。
もちろん、分譲マンション全体を管理している会社に賃貸経営部門があれば、そこに委託することはできますが、別途、個別に契約を結ぶ必要があります。
マンション全体の管理会社は建物全体や共用部の管理、居住者のルール管理やトラブル対応を行う窓口です。
これに対して賃貸経営を任せる場合は、入居者の管理と専用住戸の管理がメインになります。
■管理会社を変更したくなるケース
賃貸経営を任せる会社を変更したくなるのは、どのようなキッカケやケースがあるのでしょうか。
オーナーによって考え方はさまざまですし、キッカケとなる事情もそれぞれです。
多いケースとしては、管理委託手数料が高いと感じたなどコスト面の不満、管理業務をしっかりしてくれない、トラブル対応などが円滑でないなど業務に関する不満です。
業務に不満はないけれどコストや収益を改善したいケースと、信頼関係が失われたケースがよくある変更を考えるキッカケとなります。
では、実際にどのようなことがキッカケで分譲マンションの賃貸管理会社を変更したくなるのでしょうか。
こんな場合は賃貸管理会社を変更したほうが良い事例についてご紹介します。
マンション規約の遵守をフォローしてくれないケース
分譲マンションには各マンション管理組合で規約が定められ、所有するオーナーはもちろんのこと、そのマンションを借りて住む入居者も遵守が求められます。
あるマンションではペットの飼育は不可となっており、賃貸契約時にもペットは飼育しないという条項を設けて契約を結びました。
にもかかわらず、ペットを飼育していたことが発覚し、マンション管理組合からオーナー宛てにクレームが入ったという事例です。
オーナーは管理会社に連絡を取り、すぐに飼育を止めるように注意をしてほしいとお願いしました。
管理会社は郵送書面にて一度、ペットは飼わないようにとの通知を発したのみで、実際に確認などを怠ったため、その後もペットが飼育され続け、オーナーがマンション管理組合より、賃貸契約の解除やマンションからの退去を求められたという事例です。
管理会社が即応し、入居者がルールを守るよう徹底したサポートを行わなかったことによりトラブルが大きくなってしまいました。
こうしたケースでは賃貸管理会社への対応力や信頼に疑義が生じ、変更をするキッカケになるでしょう。
修繕費や退去時の費用が高いケース
分譲マンションの管理を依頼していたところ、水道設備が壊れたとのことで入居者から修繕を求められ、管理会社が手配した業者が修繕を行いました。
その際の領収書を確認したオーナーは、相場より高い気がするなと感じていたのです。
その後、入居者が退去することになり、次の入居者を入れるためにハウスクリーニングなどが施されました。
その費用の明細を確認したところ、ハウスクリーニング費用が地域の相場に比べて高いうえ、1年半ほどしか入居していない中途解約のケースだったにもかかわらず、クロスの張り替えやフローリングの交換まで実施されており、事前にオーナーへの確認もありませんでした。
コストが高い、オーナーへの事前確認もないことに不満を感じ、賃貸管理会社の変更に至りました。
約束していた対応がなされていなかったケース
契約時点の約束では、管理会社は24時間対応で入居者からのトラブルを受け付ける内容でした。
あるとき、トイレが突然故障し、水があふれ出して止まらなくなり、困った入居者が相談窓口に電話をしたところ、一向につながらず、対応が遅れる事態となってしまったのです。
契約に沿った対応がなされていなかったこと、水漏れにより入居者をはじめ、下の階のマンション住人にも迷惑をかける結果となり、すぐに変更に至りました。
■管理会社を変更する際の流れ
変更したいと思ったから、いきなり契約解除するわけにはいきません。
契約期間を定めており、中途解約時に違約金が発生するような内容となっている場合には、契約期間の満了を待って切り替えるか、それとも不満を解消するためにすぐに切り替えるかを検討しましょう。
そのうえで、管理業務が途切れないよう、解約に先立ち、新しく契約したい管理会社を探すことが必要です。
変更したいと思ったキッカケや事情、理由を明確にし、ニーズに応えてくれる管理会社がないかリサーチしましょう。
コスト面に不満があった方は地域における分譲マンションの管理手数料の相場などを調べるとともに、どのくらいの費用なら納得できるかを計算します。
そのうえで、信頼できそうな業者をいくつか探して、見積もりを取り、比較検討を行いましょう。
新たに契約したい業者が定まったところで、現在の管理会社に契約終了をしたい旨の連絡を取り、新たな業者も含め、いつの時点から切り替えるかの調整を行います。
■管理会社を変更する必要な手続き
管理委託契約の切り替えが途切れずに行えるよう、たとえば、2020年3月末をもって以前の業者と解約をし、2020年4月1日より新たな業者と契約をスタートさせるといった内容で、それぞれ解除契約や新規契約を締結します。
管理会社との手続きが済んだら、早めに入居者に通知を行いましょう。
いきなり新しい管理会社から案内が来ても、入居者は知らない会社名に戸惑ってしまいます。
オーナーから通知を行うのが基本です。
いつの時点から切り替わること、サービス内容に違いがあればその内容を明確にし、管理会社の連絡先や緊急対応窓口の連絡先などを書面に明記して郵送しましょう。
家賃の支払いについても、管理会社が変われば大きく違ってきます。
新しい支払方法を選択してもらい、新たな振込口座の案内や口座引き落としの場合は引き落としの申込書の提出を促すなど、スムーズに変更ができるよう案内を出しましょう。
■あらかじめ手順や流れを知っておこう
既存の管理会社と信頼関係が損なわれたとしても、変更するのは面倒に感じられるかもしれません
ですが、分譲マンションのオーナーにとって、管理会社は重要なパートナーです。
あらかじめ手順や流れを理解しておけば、スムーズな変更が可能です。