所有している分譲マンションを賃貸に出して賃料収入を得たい場合、賃貸ノウハウのないオーナーにとって、入居者との間に入ってさまざまな管理をしてくれる管理会社の存在は不可欠です。
賃貸管理会社が何をしてくれるのかをしっかり理解したうえで、最適な会社を見つけるようにしたいものです。
■毎月の管理費で賄われているマンション全体の管理について
分譲マンションのオーナーにとって管理会社というと、所有している住戸があるマンション全体を管理する会社を思い浮かべるかもしれません。
本来、共用エリアをはじめとする建物全体の管理は、オーナー全員で結成されるマンション管理組合が行います。
古いマンションなどでは管理組合やそのメンバーから選ばれた理事会が中心になって独自に行っているケースもありますが、近年は多くのケースでマンション管理組合の総会決議を通じて、専門の会社に委託をしているのが一般的です。
オーナーは毎月、管理費と修繕積立金を支払いますが、管理費は日々の管理に充てられ、修繕積立金は十数年に一度を目安に行われる外壁塗装や共用設備の交換など共用エリアを維持し、建物の耐久性を維持するための大規模修繕のための費用として積み立てられることになります。
日々の管理としては管理人の常駐管理や巡回管理をはじめ、エントランスや廊下、ゴミ捨て場など共用エリアの清掃や電球などの消耗費の交換、防犯カメラの維持やエレベーターの点検やメンテナンス、火災探知機や消火栓など防災システムの管理などが挙げられます。
また、オーナーをはじめ、賃貸されている住戸の入居者など、実際に住んでいる住人からの問い合わせ対応やクレーム対応なども業務の一環です。
■マンション管理組合の管理と混同してはいけない
分譲マンションを貸したいときには、マンション管理組合が委託している会社とは別に、入居者の管理をしてくれる賃貸管理会社に委託することが必要です。
どのようなことをしてくれるかは、依頼するサービスの内容にもよりますが、主な内容は次の通りです。
入居者の募集や入居者との契約の締結、入居中のクレーム対応や貸している住戸内の不具合、住宅設備の故障への対応や修繕対応、賃料の収受、退去時の査定と明け渡し後のハウスクリーニングなどが挙げられます。
マンション管理組合による管理が、建物全体や共用エリアに関することとマンション管理規約に定めるルールの運用に基づくクレームや要望への対応になるのに対し、賃貸管理は貸し出す住戸に関わる事柄と入居者とオーナーの間に発生する問題の解決の代行業務です。
マンション管理組合が委託する会社は、各オーナーの住戸内のことには基本的にタッチしません。
一方、貸し出すために委託する管理会社は、共用エリアの清掃などの業務は担いません。
対オーナーとの関係で業務を引き受け、オーナーに代わって入居者への対応や管理業務を行うものです。
それぞれ役割と提供する管理業務が違うので、両者を混同しないようにしましょう。
■どのように選べば良いか
マンション管理組合が委託する会社の中には、貸したいオーナーをサポートする部門があることもあります。
普段から慣れている会社に依頼するのも一つの方法ですが、業務内容が異なり、担当者も異なりますので、対応力があるか、しっかり確認しなくてはなりません。
また、馴染みがある会社だからと、ほかと比較せずに1社だけで決めてしまうと、ほかより管理手数料が高かったなど、不利になることもあります。
分譲マンションがあるエリアを対象地域にしている管理会社をリサーチし、それぞれからプランの提案と見積もりを得たうえで、比較検討をしっかりと行いましょう。