家賃交渉された時にオーナーがするべきこと

分譲マンションを貸している場合に新しく入居予定の方やすでに入居中の入居者から家賃の値下げを交渉された場合、オーナーとしては家賃の値下げに応じるべきなのでしょうか。
採るべき対策と対応についてご紹介します。

■家賃の設定の仕方

分譲マンションを貸す場合の家賃は地域の家賃相場を基準にマンションのグレードなどを勘案して、設定するのが基本です。
同じマンション内ですでに貸している物件がある場合は、その家賃も考慮に入れる必要があります。
同じマンションであっても、間取りや広さ、階数や位置によっても家賃は異なりますが、同じ間取りや広さ、階数も同じとなれば、あまりにかけ離れた高い家賃を設定すると借り手がつかなくなるケースがあるので注意しなくてはなりません。

■すぐには応じない

地域の家賃相場などを踏まえて適正な家賃だと考えて設定したのに、入居希望者や入居者から家賃の値下げを求められたら、どう対応すれば良いのでしょうか。
値下げには応じられないと、拒否しても特に問題はありません。
多くのオーナーは不動産会社を通じて、入居者などの申し出にNOを突きつけ、不動産会社を通じて返答することが多いものです。
入居希望者であれば、設定した家賃で借りてくれる人を待てば良く、入居者の場合も家賃交渉に応じてもらえないからと、すぐに出ていく人はそう多くありません。
引越しをするには費用もかかるため、家賃が下がらなかったとしても、引越し費用などを出すことを考えれば、そのまま住み続けたほうがお得だからです。

■場合分けして考える

もっとも、状況によっては家賃交渉の場面に対応しなくてはならないケースもあります。
たとえば、空室が続いており、どうしても入居者を得たい場合に、ようやく表れた入居希望者から、「もう少し安ければ借りる」などと言われた場合です。
また、地域で賃貸需要が減少傾向にあり、空室リスクが高まっている中で、入居者から「家賃を下げてくれなければ、契約は更新しない。」と言われた場合などです。
入居中の方が家賃交渉をしてくる場面は、その多くが契約の更新が近づいたときになりますので、契約の更新時期が近づいてきたら、身構えておいたほうが良いかもしれません。

■事情や理由を聞こう

家賃を下げてでも入居してもらいたいな、更新してもらいたいなと思っても、すぐに値下げを認めないようにしましょう。
交渉次第で、オーナーが提示した家賃で決着がつく場合があるからです。
家賃交渉に臨む前に、なぜ、家賃の値下げを希望しているのかを確認してください。
入居希望者の場合にはご自身の都合が多く、「物件は気に入ったけれど予算内に収まらない」から、数千円ほど下げてほしいといったケースが多いです。
これに対して更新が近づいている方は、長く入居している場合には、「地域の家賃相場が値下がりしているのに高いままになっている」「築年数が経ち、設備も老朽化しているのだから、それに従って家賃を下げてほしい」といったものが多いです。
後はオーナーがそれに対してどう考えるかと、家賃を下げて空室リスクを防ぐか、空室による損失を受けるかとなります。

■シミュレーションしてみよう

家賃の値下げといっても、何万円もの交渉をしてくる方はいません。
家賃相場は売買価格ほど大きく変動しないためです。
仮に73,000円の家賃を3,000円下げたとして、少なくなる収入は年間で36,000円、2年契約で72,000円の損失です。
これに対して、73,000円の家賃を維持すれば、1ヶ月の空室でも73,000円、2ヶ月空室なら146,000円も機会損失が出ます。
値下げをして入居を続けてもらう際の減少した家賃分と空室になった際に入ってこない家賃分を比較し、適正かつ冷静に判断しましょう。